ニューヨークの美大に行くということ

美術を学ぶ

日本の美大を目指した事がないので具体的な比較になっているか不安ですが、日本の美大に行った複数の知り合いを見る限りやたらデッサンばかりしているな、という印象を受けました。

全てを調査し尽くした訳ではないので全ての大学に関して一概に「こう」ということはないですが、私はこの通例行事のような「写実的デッサンをやたら重視する日本の美術観念」が全く理解できません。

厳密に言えば、この観念は「理解できるけど理解したくない」のです。
そもそも、絵に「上手い」「下手」は存在しないのです。この考え方は日本の教育の中では特に強く教えてくれる事ではないと思います。

現代社会において、写実的に描かれた絵の価値とはなんでしょう。「写真みたい」という以外の価値を考えたことはありますでしょうか。写実的であるならば高性能カメラで撮った写真全てが美術的価値を持つと言えるのではないでしょうか。
確かに人物デッサンは基礎能力として大事です。しかし、見たものをそのまま写実的に描くという行為は「芸術」ではなく「技術」にすぎません。

美術館

マンハッタンのタイムズスクエアやチャイナタウンなど、観光客が多く集まる場所には、似顔絵やポートレイトを描いて生計を立てている福建省出身の中国人が沢山います。

彼らの絵には「思い出」や「技術」としての価値はそこそこあるかもしれませんが、「芸術」としての価値は薄いです。

何故なら、見たものをそれっぽく似たように描くだけなら、複数枚練習すれば誰でも描けるようになるからです。

「写真のような絵」に価値があるとすれば美術館にはその「写真のような絵」ばかりが並ぶはずです。そうならないのは、美術的価値と写実性が結びつかないからなのです。

また、知り合いだった人にやたら写実的な花ばかり書いて芸術家を気取る人がいましたが、それは果たして芸術と言えるのでしょうか。花や植物を見たまま描けば美しいのは当然です。それは描き手が凄いのではなく花や植物が凄いだけです。

大事な事は、花を描く行為ではなく、花を描くことを選択した理由なのです。ただ漠然と描かれた花の絵ほど芸術的価値の低いものはありません。

しかしながらそういった「写真のような花の絵」はそこそこ人気があり、これこそがアートであるというような世界の認識があるのも確かです。

日本に「見たものをそのまま描くことの絶対的価値観」が根強く存在する以上、私には恐らく耐えられないだろうなと思いました。

だからこそ私はアメリカの美大を目指しました。この留学の間に英語を身に付け、アートを中心に色々な一般科目も学びましたが、この選択は非常に有益だったように感じています。

凝り固まった知識や偏見だらけの日本の教科書よりもむしろ、色々な事を数歩下がって見るということを覚え、「そういう考え方もある」という捉え方などを学んだのです。

美大で学ぶ

歴史の授業での見方もやはり日本とは違いました。高校生の頃に受けた世界史はやはり日本から見た世界でしたが、アメリカではそもそも自国史と他国史では分けられないので、歴史的な大きな事件などの捉え方も違います。(自国にとって都合の悪いところ隠す教育は世界共通だな、とは思いましたが…)

包括的に歴史の流れを学ぶ授業が大半で、やはり日本の高校で学んでいた歴史とはどこか印象が違いました。

結果的に私は、アメリカの大学で学べて良かったです。

「写実的な絵を最高の美とする日本の教育」から逃れられたことが一番付加価値として大きいと感じます。「視野が広がった」、「自分を変えた」などというチープな表現は使いたくないですが、やはりどうして、自分の考えの浅さに気付かされる事ばかりでした。

加えて、私が最大に理解できないのは「大学四年生になったから週2日しか学校にいかないし、ひたすら就職活動をする」という日本の大学生特有の事象です。

これは私の周りの友人だけなのでしょうか?これが日本全体の流れだとしたら気分が悪くなります。大学に何をしにいっているのでしょう。大学4年生なんて学生生活で物凄く大事なことを学べる期間なのではないでしょうか?

単純に勿体無いと感じます。それで入りたくもない企業に入る知り合いを何人も見てきて、これは世間が働き方改革とかそんなこと以前の問題にすら気づけていないのではないかとすら思いました。

「留学して良かった。」留学を終えてこの言葉を心から言える私の留学は正解だったのだと思います。

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この記事の著者

MK

MK

高校卒業後単身で渡米。現地の美術大学を卒業後日本に帰国、フリーランスの服飾デザイナーとして活動。
中学生時代から趣味で漫画を執筆、現在は主に女性向け電子書籍の漫画を頒布。

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