スーパーで買える拳銃、キャンパスを闊歩する特殊部隊 アメリカの銃事情
武装したSWATチームがキャンパスを闊歩している。
先日、私が留学していたアメリカ、インディアナ州の大学、Wabash College(ワバッシュ・カレッジ)からそんなニュースが飛び込んできました。
ひとりの大学職員が、銃による殺人事件を起こし、その身柄の捜索が目的でした。
授業はキャンセルされ、キャンパス中を警察の特殊部隊であるSWATが捜索。学生は外出禁止令を受けました。防弾チョッキを着、自動小銃を手に持った屈強なSWATの隊員達が見慣れたキャンパスを捜索している写真を見た時は驚きました。
結局、事件の容疑者は州都インディアナポリスのヒルトンホテルで拳銃自殺を図り、死体で発見されたそうです。
アメリカと言えば、銃社会。それを改めて実感した出来事でした。
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日常生活の中に、銃がある
アメリカのスーパーで買えるものは何でしょう。食材、日用品、そして銃です。留学中スーパーやショッピングモールに買い物に行くと、そこでは当たり前のように銃が売られていました。 ウォルマートを売り場ごとに歩いてゆくと、釣り具コーナー、キャンプコーナー、そして銃コーナーが目に入ります。ライフルから拳銃まで、そして様々な銃弾が、よりどりみどりです。だいたいそのコーナーでは典型的なアメリカ中西部の白人男性がニコニコしながらショッピングを楽しんでいます。 書類に記入するだけで、誰でも簡単に買えてしまいます。ハンティングは伝統的な娯楽として成立していますし、自宅に銃を置いておくことも当たり前です。拳銃は自衛、ライフルは趣味
ライフルは主にハンティングに使用する目的で購入する人が多いようです。ハンティングのために、父親が息子に銃の扱い方を教える光景は、アメリカの田舎では「ザ・家族の暖かいシーン」です。 一方、拳銃は自衛のために持つ人が多いです。自分の身は自分で守る、ということですね。 確かに、銃の文化が根強い南部、中西部などは家と家の間隔が離れており、何かあったら自分で自分の身を、そして自分の家族を守るしかないのかもしれません。伝統文化?
現実的な自衛の必要性に加え、自由や自立などといったアメリカの根幹的価値観が、この銃社会の裏にはあります。 市民ひとりひとりが銃を手に取り、植民地政府に立ち向かい、独立を勝ち取ったという意識や、ひとりひとりが武装し、中央政府の暴走を抑止するなどといった意見を留学中に頻繁に耳にしました。 また、アメリカ合衆国憲法修正第2条で、銃を所持する権利が認められているとされます。~アメリカ合衆国憲法修正第2条~ A well regulated militia, being necessary to the security of a free state, the right of the people to keep and bear arms, shall not be infringed (規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であり、市民が武器を保有し、携帯する権利は、侵されてはならない)銃は、そういった意見を持つ多くのアメリカ人の誇りなのです。ヨーロッパと比較して、アメリカには伝統文化がないと言う人がいますが、この銃に対する価値観は、もはや伝統文化と呼んでも差し支えないのではないでしょうか。
銃による事件は多発
銃が絡んだ殺人事件は全米各地で絶えません。冒頭で紹介したように、身近な場所でも事件が起こりうるのです。 アメリカの大学の警備員(キャンパス・セキュリティ)は、退役軍人が多く、日本と比べると、安心ではあります。ただ、大学も完全に安全とはいえません。 Wabash Collegeから車で1時間ほどのところにあるPurdue University(パデュー大学)でも、以前発砲事件がありました。キャンパスで学生が学生を銃で撃ち殺したのです。小学校などでの銃乱射事件もしばしば報道されますね。悲しいことに、これまで数多くの犠牲者を出してしまいました。銃規制、割れる世論
多発する銃による事件を背景に、銃規制(Guns Control)を求める声は全米各地であがっています。 銃規制派、銃規制反対派に世論は二分されています。民主党支持層・都市部に規制派は多く、共和党支持層・中西部や南部には規制反対派が多いです。 規制に反対する影響力のあるロビー団体として真っ先にあげられるのは、全米ライフル協会(NRA)です。会員数はなんと400万人。ハリウッドスターである故チャールトン・ヘストン(元会長)やチャック・ノリス(現名誉会長)が所属していることでも有名です。スローガンは「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ(Guns don't kill people, people kill people)」です。キャンパスでの議論も活発
銃規制の賛否について、授業中でもプライベートでも意見を求められることが多いです。大学では日常的に議論の的になる題材で、私も一度プレゼンテーションをした記憶があります。 きちんと調べて、自分なりの意見を持っておくと良いかと思います。冒頭で紹介した事件を受けて、Wabash Collegeで今後、どのような議論が行われるのか個人的に注目しています。複雑なアメリカの銃事情
さらっと書きましたが、実際アメリカの銃事情はより複雑で、難しい問題です。 アメリカに留学すれば、銃が身近にある環境を体験することができます。 おもちゃの銃を人に向けることは日本では、ダメだよと言われる程度で済むかもしれません。 アメリカでは、本物だと間違われ、銃で撃たれてしまう可能性すらあります。おもちゃの銃をふざけて友達に向けて、本気で怒られたこともありました。そういった感覚の差異を肌で感じることのできる経験は貴重だと思います。 参考リンク ・なぜアメリカは銃を廃止できないのか ・Zionsville suspect's motive 'strictly for financial gain' ・Intense moments for Wabash Collegeアメリカ留学 関連記事
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