アフターコロナのミラノは今
ミラノがあるロンバルディア州から、コロナウィルスによるロックダウンが始まったイタリア。いま、ミラノの街には人が戻りつつあるが、まだまだ以前の様な生活は戻っていない様子。
街の中心地にあるドゥオモには、人出は見受けられるものの、観光客らしい姿はほとんど見られない。
メトロも、利用している人は比較的少なく、現地のイタリア人によると、以前のように電車を頻繁に利用するのには、まだ少し抵抗があるそうだ。また、食事も、レストランで食事をするのではなく、友人宅で料理を持ち寄ってディナーを楽しむ機会が増えたそうだ。
さらに、イタリア人ならではの熱いスキンシップや、挨拶のキスも、今は極力控えられている。
印象的であったのが、レストランやカフェ、美術館、どこへ行っても体温を測ることを義務付けられ、入店前に消毒が必須であるということ。
ほとんどの美術館は、今は入る際には必ず予約が必須になっている。電車にも、入り口に消毒液が取り付けられており、アナウンスでも、コロナに対する対策のアナウンスが流れている。カフェの店員は皆フェイスシールドとマスクを必ず着用。マスク着用・ソーシャルディスタンス・消毒をするなどの、コロナに関する予防策の張り紙も外を歩いているとよく見受けられた。
厳しくルールが定められており、日本と同様、イタリアはすでにコロナとの共存生活が浸透しつつある印象を受けた。
国から義務づけられているとはいえ、自由なイメージのあるイタリア人が、ルールに従っていることに驚きを隠せない。それほど、ロックダウンはイタリアの人々に衝撃を与え、価値観を変えさせるほどの影響力があったのであろうと想像できる。
ある日、通りがかった公園で、無料のエキシビションが開催されていた。そこには、ミラノのロックダウンの様子を写真に収めたものが何点か展示されていた。いまではこうして作品として展示し、語れるほど、ロックダウンは、過去の出来事になったのであろうか。
街を散歩していると、楽器を演奏している人や絵を描いている人、ガーデニングのための花を買う人を見かけた。
ロックダウンという衝撃的な出来事を体験し、イタリアの人々は、芸術に癒しを求めながら、精神的にもアフターコロナを乗り切ろうとしている。
世界中どこにいても、コロナとの共存生活はもはや常識になりつつある。日常にひそんでいる、ほんの小さな新しい発見や美しいものを意識的に探し出し感じるということが、今の時代に生きる私たちの心を豊にしてくれるのかもしれないと感じさせられる。