ヨーロッパのニューイヤーは危険!?―ウィーンでの年越し体験談

newyeareve-in-vienna1 2015年もあと3日!留学中のみなさんは、どこで新年を迎えますか? 私も2年前のこの時期は、留学先が約1ヶ月まるまるクリスマス休暇だったので、ここぞとばかりにヨーロッパ周遊をしていました。そんな私が、新年を迎えたのはオーストリア・ウィーン。「さぞ華やかな年越しだろう」と思っていた矢先に、待っていたものとは…!?  

そうだ ウィーン、行こう。

普通の道を馬車が走るウィーン
馬車が走るウィーン
留学が始まり、だいぶ落ち着いてきた10月後半。前年に留学していた友人から「旅行計画だけは早めに立てておいた方がいいよ」と言われ、同じ寮の友人とクリスマスの旅行計画を始めることに。ドイツのクリスマスマーケットとプラハ留学中の友人訪問を軸に、計画を進めていたところ、オーストリアのザルツブルクの写真を見て「ここも行こう!」となりました。しかし、ザルツブルクだけ行くのも勿体なくて、「せっかくだから首都も見よう」という話になり、ウィーン行きが決定しました。 しかも日程を組んでみたら、なんとウィーンで大晦日を迎えることに。「ウィーンフィルのニューイヤーコンサートって聞くし、街もなんかいい雰囲気じゃないの!?」と大いに盛り上がり、おまけだったウィーン滞在が急に存在感を増してきます。 この時期はヨーロッパ中どこも宿代が高く、手ごろな値段で空室を探すのが難しいです。私たちがこの旅行で常に利用してきたユースホステル(2000~3000円/泊)もすでに予約がいっぱいで、仕方なく1泊1万円弱のホテルに泊まりました。友人の助言通り、バカンスシーズンであるこの時期は早めに予約等を済ませるべきです。

宿探しでよく利用したサイト

Airbnb(エアービーアンドビー):日本でも最近話題の「民泊」サイト Booking.com(ブッキングドットコム):世界最大の宿泊予約サイト

お世話になったヨーロッパLCC大手

RYANAIR(ライアンエアー):ヨーロッパNo.1の格安航空会社。とにかく安いが、郊外の空港発着が多い。 easyJet(イージージェット):ヨーロッパNo.2。RYANAIRよりも少し高級で、清潔感があるイメージ。メイン空港への発着が多い。  

華やかすぎるウィーン観光

いちいちおしゃれなイルミネーション
いちいちおしゃれなイルミネーション

街中ブタだらけ?ウィーンの年末

年末だというのに(むしろ年末だからか)、ウィーンの街は、観光客や地元の人でわいわい混雑していました。クリスマスはもう過ぎているものの、市街地はイルミネーションの飾りやクリスマスマーケットの屋台がそのまま残っていて、クリスマスと正月がミックスしているような印象を受けました。その屋台で売られていたのは、なんとブタの置物!なぜブタかというと、オーストリアでは、ブタは新しい年の幸福を運んでくる・子孫繁栄の象徴などと言われており、縁起物としてその置物を飾って新年を迎えるそうです。門松や正月飾りのようなものですかね。

ウィーン観光のススメ

シェーンブルン宮殿
シェーンブルン宮殿
ウィーンは「音楽の都」と称されるだけあって、ウィーンフィルがニューイヤーコンサートを行う「楽友協会」や「ウィーン国立歌劇場」などがあり、ほぼ毎日(観光客向けも含めて)コンサートが行われているなど、音楽好きにはたまらない街です。 さらにウィーンといえば、ハプスブルク家のゆかりの地であり、「ホーフブルク王宮」や世界遺産の「シェーンブルン宮殿」など豪華絢爛な歴史的建造物が有名です。あまりピンとこない方も、幼き日のモーツァルトがマリー・アントワネットの前で演奏し、宮殿内で転んだところを助けられてプロポーズしたという逸話はご存知ではないでしょうか。その宮殿が、シェーンブルン宮殿だったと言われているそうです。パリのヴェルサイユ宮殿の比ではないものの、さすが世界遺産。朝一で行っても大勢の人がいて、当日券購入に長蛇の列ができていました。年末でも、それなりの混雑を覚悟していきましょう。

これを食べなきゃはじまらない!?ウィーンのスイーツ

ホテル・ザッハー前の行列
ホテル・ザッハー前の行列
世界中の観光客にその名が知れ渡り、ウィーン観光の際のマスト・フード化しているのが「ザッハートルテ」。要は、ただのチョコレートケーキなのですが、その濃厚な味で「チョコレートケーキの王様」と称されるため、世界的に有名になったそうです。日本のスターバックスでも冬季限定で販売されていますが、そのザッハートルテの元祖が、ここウィーンにある「ホテル・ザッハー」です。その名の通り、ザッハーというホテルで出る菓子(トルテ)なのでザッハートルテ。 ウィーン1日目はあまりの混雑で断念しましたが、滞在2日目にてようやく味わうことができました。気になるお味は「甘い」です。表面のコーティングのチョコがかなり甘く、一緒に頼んだコーヒーが甘さを緩和してちょうどいいくらいでした。でもホテル・ザッハーのカフェがおしゃれすぎて、雰囲気との相乗効果で、なんだかとっても贅沢で高貴なお菓子をいただいたかのような気分に。そしてもっと驚きなのは、クロークサービスがあったことです。ちょっとお茶くらいの感覚だったので、まさかクロークがあるとは思わず、格式高さを感じました。クローク係のおばさまにチップを要求されますが、奥に綺麗なトイレがあるのでトイレ代だと思えば大丈夫です、払う気持ちになれます。  

楽しい大晦日の過ごし方

ウィーン国立歌劇場
ウィーン国立歌劇場
もし大晦日にウィーンに行くならば、おすすめしたいのがオペラを観ることです!オペラは高いというイメージがあるかもしれませんが、実はウィーンの国立歌劇場では「当日立ち見席」があり、1階席の一番後ろだと€4、2階席以上だと€3でオペラが見られます!!しかもなぜ大晦日がおすすめなのかというと、その演目が大晦日と元旦の恒例行事となっているオペレッタ「こうもり」だからです。オペレッタとは「小さなオペラ」という意味ですが、決して上演時間が短いわけではなく、オペラと比較するとコメディ要素が強いという特徴があります。また、なぜこの演目なのかというと、物語が大晦日の晩の出来事を題材にしているため、ドイツ語圏では年末年始の定番のようです。日本でいう第九みたいな感じですね。舞踏会のシーンがあり、華やかな演出が魅力です。
1階立見席からの景色。手前の赤い手すりに寄りかかって鑑賞できる
1階立見席からの景色。手前の赤い手すりに寄りかかって鑑賞できる
手すりの下にモニターがあり、セリフの英訳が表示されるので安心
手すりの下にモニターがあり、セリフの英訳が表示されるので安心
立ち見席は、上演80分前から販売されますが、いい席を求めて上演3~4時間前には立ち見用のチケット売り場に行列ができるので、早めに並ぶことをおすすめします。私もおそらく4時間前から並んだおかげで、1階席後ろの立見席を取ることができました。私の2列前はシート席ですが、そのお値段は2万円オーバーだとか。およそ40分の1の値段でオペラが楽しめるなんて嬉しいですよね。立見席には多くの地元の方もいらっしゃって、演目が始まる前や休憩の時にちょっと雑談したりして、交流を楽しめたのがいい思い出です。  

いざ、カウントダウンへ

市庁舎前カウントダウンの様子。花火が上がる
市庁舎前カウントダウンの様子。右手に花火が上がっています
ここまで読んで、「なんだ、普通に楽しんでるじゃん」と思いませんでしたか?長らくお待たせしましたが、ここからがまさかのどんでん返しの始まりです。 約3時間の公演が終わり、国立歌劇場からカウントダウンが行われる市庁舎広場へと向かいます。かなり距離がありましたが、新年を前に高揚する街の雰囲気を楽しみながら歩いていくことに。市庁舎に近づいてくると、急に辺りが騒がしくなりました。「何の音だろう?」と思うと、突然目の前を爆竹が横切りました!!!!とっさにしゃがんで間一髪というところでしたが、あんなにも身の危険を感じた大晦日は生まれて初めてでした。爆竹の音が鳴る度にびくびくしながらも、なんとか市庁舎前にたどり着くと、そこは人・人・人の大混雑!!ただでさえ小柄なジャパニーズピーポーは、瞬く間に埋もれてしまいました。カウントダウンが始まったものの、「あ、私ドイツ語で数、数えられないや」という事実に気が付き、友人と二人で場違いな日本語カウントダウンをしました。でもさすがウィーン。新年を迎えると同時に花火が上がり、ウィンナーワルツが流れて、周りにいたカップルたちが手を取り合って踊り出したのは素敵だなあと思いました。 行きも災難ですが、帰りもなかなかです。酒に酔って暴れる若者、変に絡んでくるおじちゃんたちをかわしながら、そそくさとホテルまで帰ってきました。無事、自分たちの部屋に着いた瞬間、「ああ怖かった」と思うと同時に、オペレッタを楽しんでいた時と今が本当に数時間内の出来事だったのかと疑ってしまいました。 翌1月1日、私たちは次の地・スロヴァキアへ移動のため、地下鉄に乗ってびっくり。車内にはビールの空き瓶があちらこちらに転がっていました。さらに、路上に散乱する大量のゴミの衝撃。「美しかったウィーンの街よ、何処へ」と思いながら、ウィーンを後にするのでした。  

おわりに

いかがでしたか? よく元旦のニュースで世界各地の新年の様子が映し出され、花火などのダイナミックな演出に憧れていましたが、実際には周りを爆竹が飛び交っていたり、酔っ払いだらけだったりと意外と危険だという印象が残りました。私は、日本で静かに「ゆく年くる年」を見ている方が性に合っていたようです。余談ですが、BBCの世界の年越しカウントダウン特集を見て、世界各国がこぞって花火を打ち上げているのに対し、日本だけ浅草寺の除夜の鐘が「ゴーン」と鳴る映像が使われていて、色んな意味で目立っていました。そのコントラストに思わず吹き出したことをよく覚えています。 年越しカウントダウンはロンドンのテムズ川も有名なので、気になる方はぜひ!  

参考サイト

オーストリア政府観光局公式サイト
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